労働基準法では、社員が働くことができる時間は原則、1日8時間、1週間について40時間(一部の事業は44時間)以内に限られています。

もし、それを超えて働いてもらおうと思ったら、必ず36協定を締結して届出なければいけません。

「36協定を届け出ているから、安心」というわけではなく、その超えた部分の残業や休日労働の割増賃金は当然、支払わなければいけません。しかし、業種によっては、業務の中で、特に忙しい時期とそうでない時期がある場合があります。本来であれば、忙しい時期には残業や休日出勤が発生しやすいので、その超えた部分の残業代はしっかり支払う。忙しくない時期には、のんびり仕事をしたり、仕事を早く切り上げて帰ることもあるかもしれません。

でも、それでは大切な時間を有効に使いながら働くことは難しいですね。

このように、1日8時間、週40時間という働き方が、非効率で、業種によってはどうしても上手く当てはまらないという問題が出てきます。

 

この時期にははたくさん働いてほしいけど、それ以外の時期には働く時間を短くして、一定の期間を通して労働時間や残業代を調節したい・・・。

その場合は、「変形労働時間制」という制度を採用することによって、

1か月、1年、1週間というように定められた期間で、労働時間を変化させて、その配分を行うことで「労働時間を短縮する」ことが出来ます。

 

変形労働時間制を採用すると、「たくさん働かせることが出来る、36協定を届け出なくてもいい、割増賃金を支払わなくてもいい、シフトを変幻自在に変えることが出来る!」

そう思われる方も多いのですが、実はそういう意味ではありません。

 

あくまで、「繁閑の差を埋めるために、賢く柔軟に働く、それによって働く時間を短縮する」ということを目的としているからです。

 

「変形労働時間制」を採用しているというおかげで、働く時間を特定せずに、会社側の都合でシフトをころころ変えるようなことがあれば、社員にとっては、疲労するだけなので、効率よく仕事をすることは難しくなり、悪循環と言えます。

なので、それ以外の目的で採用する場合や、シフトや労働時間をあらかじめ特定できないという場合は、いらぬ手間が増えるだけなので、ほとんどメリットはありません。

 

では、それぞれの変形労働時間制の特徴と採用方法を見ていきましょう。

 

「変形労働時間制」の種類は?

①1か月単位の変形労働時間制

②1年単位の変形労働時間制

③1週間単位の変形労働時間制

この3種類があります。

それぞれの制度には、採用の条件や運用の仕方に違いがあるので、ポイントを解説します。

「1週間単位の変形労働時間制」には、採用できる業種や条件が限られるので、今回は省略しますね。

 

また、業種や職種によっても、通常の労働時間のままでいくか、変形労働時間制がいいのか、はたまたフレックスタイム制やそのほかの方法がいいのか、それぞれ有効となる方法も違うので、社内で検討してみるのがいいかと思います。

 

①1か月単位の変形労働時間制

1か月のうちで、忙しい時期とそうでない時期が特定されている場合が有効です。

採用方法 労使協定、または就業規則により定める
変形期間 1か月以内の期間とする
運用の条件 上記の「変形期間」の」1週間平均の労働時間が週40時間(一部の事業は44時間)を超えない範囲において、変形期間における各日、各週の労働時間をすべて特定すること

例えば、「変形期間」が1か月であれば、「1か月を平均して週の労働時間は40時間(44時間)におさまるか?」を見ます。

31日の月→40時間×31/7≒177.1時間

30日の月→40時間×30/7≒171.4時間

この労働時間の範囲で、あらかじめシフトを組めば、1日8時間、週40時間(44時間)以内という枠に収まることなく、労働時間を調節することが出来ます。

また、設定する1日の労働時間、1週間の労働時間に上限はありませんので、ある日の労働時間を12時間、ある週の労働時間を60時間というように、極端に長く設定することも可能です。

 

②1年単位の変形労働時間制

1年のうち、季節によって忙しい時期とそうでない時期が特定されている場合が有効です。

採用方法 労使協定により定める
対象期間 1か月を超え1年以内の期間とする
運用の条件 上記の「対象期間」の」1週間平均の労働時間が週40時間を超えない範囲において、対象期間における各日、各週の労働時間をすべて特定すること

例えば、「対象期間」が1年であれば、「1年を平均して週の労働時間は40時間におさまるか?」を見ます。

1年間→2,085.7時間

この労働時間の範囲で、あらかじめシフトを組めば、1日8時間、週40時間(44時間)以内という枠に収まることなく、労働時間を調節することが出来ます。

しかし、1か月を超え1年以内という長い期間であることから、設定する労働日数、労働時間等に様々な限度が設けられています。

原則的に、全期間の労働日となる日とその労働時間をあらかじめ特定する必要があり、仮に年の途中で退職した場合や、採用した場合は、割増賃金の支払いが必要になります。

 

このようなことを考えると、「変形労働時間制」は運用していく上で、相当な管理が必要となります。

 

それを踏まえて、「変形労働時間制」を採用するか、仕事の仕方を工夫しながら、原則の労働時間のままでいくのか、ほかの方法を検討するか、是非、社内で考えてみてくださいね!

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