こんにちは。Padma株式会社の田中です。
前回は「人材開発支援助成金(一般訓練コース)」の申請手続きについて報告しましたが、今回は(特別育成訓練コース)の申請手続き状況について、お伝えしていこうと思います。
目次
(おさらい)人材開発支援助成金とは
業務に関連した専門知識や技能を習得するために研修などをおこなった場合、経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
本助成金は次の8コースが設けられています。
特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇等付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース、障害者職業能力開発コース、人への投資促進コース
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)とは
正社員経験の少ないパートやアルバイトなどの有期契約労働者等の正社員転換または処遇改善を目的として、事業主が有期契約労働者等に対して計画に沿って訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
特別育成訓練コースには、①一般職業訓練 ②有期実習型訓練 の2種類があります。
① 一般職業訓練の対象となる訓練
OFF-JTであり、下記の3点に該当する職業訓練
・1コースあたり1年以内の実施期間
・1コースあたり20時間以上の訓練時間数
・次のABいずれかに該当する訓練
A事業内訓練
ⅰ自社で企画・主催・運営する訓練計画で、下記要件を満たす部外講師による訓練
・職業訓練指導員免許保有者
・1級の技能検定合格者
・専門的な知識もしくは技能を有する指導員または講師(3年以上経験)
・専門的な知識もしくは技能を有する指導員または講師(実務経験10年以上)
ⅱ自社で企画・主催・運営する訓練計画で、下記要件を満たす自社従業員である部内講師による訓練
・職業訓練指導員免許保有者
・1級の技能検定合格者
・専門的な知識もしくは技能を有する指導員または講師(実務経験10年以上)
ⅲ事業主自ら運営する認定職業訓練
B事業外訓練
社外の教育訓練期間に受講料を支払い受講させる訓練等
今回当社では、Padma社労士事務所の所長で社会保険労務士である中川が講師となり、給与計算実務に関する研修をおこないます。
育児休業中訓練の場合
労働者の自発的な申出により、育児休業期間中に実施する職業訓練をおこなう場合は、10時間以上の訓練時間が要件になります。
非正規労働者でも、育児休業中にスキルアップを望み職業訓練の受講を申し出たら訓練を受けることができるのです!
② 有期実習型訓練の対象となる訓練
正社員経験が少ない有期契約労働者等を対象に、正規雇用労働者への転換を目指す①一般職業訓練に規定するOFF-JTと、適格な指導者の指導の下で行うOJTを組み合わせて実施する職業訓練で、以下の基準のものをいいます。
・企業でのOJTと教育訓練機関等で行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練
・実施期間が2~6か月以内
・総訓練時間が6か月あたりに換算して425時間以上
・総訓練時間に占めるOJTの割合が1~9割以内(OFF-JTは20時間以上)
・訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1により職業能力の評価を実施する
※eラーニング・通信教育の扱いについて
eラーニング・通信教育を除いた訓練で上記要件を満たせば、付加的に実施することが可能です。(内容に連続性があるものに限ります。)
※テレワークによるOJTの扱いについて
テレワーク制度がある場合のみ、一部の業務において、OJTをオンラインで実施することができます。
当社労士事務所は、顧問先の給与計算を代行しておこなっています。
私は今年3月に入社し、給与計算自体初めての業務のため、雇用保険や社会保険、労働時間や有給休暇などの知識がほとんどないことから、それぞれの専門知識をこの機会に体系的に学びながらOJTで給与計算スキルを身に着けていくことにしました。
対象となる労働者
① 一般職業訓練の場合
下記要件にすべて該当する労働者 ・本訓練を実施する事業主に雇用されている、または新たに雇用された有期契約労働者 ・本訓練の終了日または支給申請日に雇用保険被保険者であること ・正規雇用労働者として雇用することを約束して雇われた労働者ではないこと ・本訓練の趣旨・内容を理解している者 ・育児休業期間中に育児休業中訓練の受講を開始する者(育児休業中訓練の場合のみ) |
② 有期実習型訓練の場合
下記要件にすべて概要する労働者 ・本訓練を実施する事業主に雇用されている、または新たに雇用された有期契約労働者で、下記ABに該当する労働者 Aジョブ・カード作成アドバイザー等により、有期実習型訓練に参加することが必要と認められ、ジョブ・カードを作成した者 (a) 原則、訓練実施分野において、キャリアコンサルティングを受ける前の過去5年以内に通算3年以上正規雇用されたことがない者 (b) 上記(a)において訓練対象外とされた者で、過去5年以内に半年以上休業していた者、従事していた労働が単純作業で、体系立てられた座学の職業訓練の受講経験が全くない者、あるいは、正規雇用でも訓練実施分野で過去5年以内に短期間での離転職を繰り返したことにより正規雇用の期間が通算して3年以上となる者など、過去の職業経験の実態などから有期実習型訓練への参加が必要と認められる者 B正規雇用労働者として雇用することを約束して雇われた労働者ではないこと ・本訓練を実施する事業所で、訓練の終了日または支給申請日に雇用保険被保険者であること ・本訓練の趣旨・内容を理解している者 ・他事業主が実施した各種訓練*を修了後6か月以内の者ではないこと ・同一の事業主が実施した各種訓練*を修了した者ではないこと *公共職業訓練、求職者支援訓練、有期実習型訓練、実践型人材育成システムなど |
私は有期実習型訓練をおこないます。
まずはジョブ・カードを作成しキャリアコンサルティングを受け、この訓練に参加するに必要と認められる必要があります。
実は私はキャリアコンサルタントの資格を持っているので、ジョブ・カードは自力で作れるんです。なんなら自分で自分をキャリアコンサルティングしてもいいのですが、さすがにそれはダメということで、オンラインでキャリアコンサルティングを受けました。
無事、キャリアコンサルタントから本訓練に参加する必要を認められ、ジョブ・カードに署名と認可するコメントを記載していただき、1つめの要件はクリアしました。
要件A(a)は満たしており、(b)も満たしていると思われます。
要件BもOK。他の要件もクリアしています。
支給額
本助成金では、OFF-JTとOJTを実施すると下表が支給されます。
・OFF-JT分の支給額
※賃金助成は1,200時間が上限となります。
・OJT分の支給額
・経費助成限度額(1人あたり)
今回の訓練は計117時間を計画しているので、OFF-JTをおこなった時間分の賃金助成760円/時間、OJTを実施するので10万円、かかった経費の70%(上限30万円)が支給されることになります。
生産性要件については、前回記事「人材開発支援助成金(一般訓練コース)(リンク)と同じです。
いざ、申請手続きへ!
申請のためにはまず労働局へ相談し、申請コース、対象労働者、必要書類を確認しました。
顧問先の給与計算は、最初から1人では完結できません。OFF-JTで研修を受け、身に着けた知識をもとにOJTで先輩や講師の中川に教えられながら初めて給与計算ができるのです。
そのため、OFF-JTとOJTを組み合わせて実施する必要があることから、「有期実習型訓練」のコースを選択しました。
提出書類の準備(提出期限あり!)
労働局に相談をし申請できると判断を受けたので、早速提出書類をそろえていきます。
※書類の提出期限は、訓練開始日の1か月前までです。
<提出書類> ・様式1-2 有期実習型訓練計画届 ・様式1-1(別添3) OFF-JT部外講師要件確認書とその証明書(社会保険労務士の合格証書) ・様式1-2 有期実習型訓練に係る訓練カリキュラム(キャリアコンサルタントの証明要) ・様式2 人材開発支援助成金 事前確認書 ・様式3-2 有期実習型訓練計画変更届 ・様式4 訓練別の対象者一覧 ・様式6 事業所確認票 ・雇用契約書写し ・様式1-1 キャリア・プランシート(キャリアコンサルタントの証明要) ・様式2 職務経歴シート ・様式3-1 職業能力証明(免許・資格)シート ・様式3-2 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート ・様式3-3-1-1 職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用) |
上記に加え、労働局の指示により、
・私の雇用契約に関する疎明書(1年契約のため、本訓練終了まで雇用を維持する証明が必要)
・時間割入りスケジュール(詳しい研修スケジュールを求められたため)
・事務所見取り図(業務をおこなう場所と研修場所が同じではないことを証明するため)
を作成し、提出しました。
次に、対象労働者の確認です。実はこれには悩ましい問題があるのです。
前述の「対象となる労働者」にどう該当しているかというと、
(a) 原則、訓練実施分野において、キャリアコンサルティングを受ける前の過去5年以内に通算3年以上正規雇用されたことがない者
↓
○:3年ほど前からパートタイムをしています。つまり、過去5年以内に通算3年以上正規雇用はされていません。
(b) 上記(a)において訓練対象外とされた者で、過去5年以内に半年以上休業していた者、従事していた労働が単純作業で、体系立てられた座学の職業訓練の受講経験が全くない者、あるいは、正規雇用でも訓練実施分野で過去5年以内に短期間での離転職を繰り返したことにより正規雇用の期間が通算して3年以上となる者など、過去の職業経験の実態などから有期実習型訓練への参加が必要と認められる者
↓
?:私は大学卒業後、3年ほど前まで正社員として働いていました。過去5年以内で見ると、正社員期間が2年ほどになりますが、上記の要件に当てはまるかは微妙なのです。
しかし、過去3年でパートタイムを1年×2社、その後現職と短期間で離転職を繰り返しています。また、正社員時代に給与計算業務はおこなったことがなく、知識はゼロ。訓練が必要であることは確かです。
とはいえ、正社員として働いていた期間が長いことから、本助成金の趣旨には合っていないのではないか?という懸念がありました。
最初に労働局に確認した際は、(a)に該当するため、対象者になりますと言われて安心して申請準備に入り、膨大な申請書類を書き上げ、何度か修正を求められながらもなんとか労働局に書類を受け取ってもらい、ようやくほっとしたのでした。
ところが!
労働局から「書類の内容を確認しました」の連絡をもらってから1週間後、再び労働局から電話があったのです。
「あなたの経歴は本助成金に該当するか、当労働局では判断がつきませんので、本省に上げることになりました。」
なんということでしょう。懸念していたことが的中し、申請が受理されなかったのです。
広島労働局の担当者とはこれまで何度かやり取りをしており、こちらの経緯も理解してくれています。そして、本省に上げるため一部申請書を修正するようアドバイスをいただき、修正版を広島労働局に送りました。
きっと今頃、私の申請書は、広島労働局から東京のどこかで(本省ですね・・・)ドキドキしながら審査を待っていることでしょう。
しかし、結果はどうであれ、私は給与計算の仕事をするために計画通りに研修を受けます。顧問先の給与を正しく計算し、顧問先の従業員の皆さんがそのお給料で生活をしていくのです。給与計算業務はお客様の生活に直結する、大切で専門的な業務なのです。
助成金の受給はあくまで補完的なもの。大切なのは、業務をおこなうために必要な知識をしっかり身に着ける環境を整え、従業員がスキルアップし生産性を高めていくことなのです。
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