Q:有期契約社員を雇用しようとする時に、気を付けるべきポイントはあるのでしょうか?

 また、有期契約社員を雇用することで会社にメリットはありますか?

 

A:まずは、「有期契約社員(有期労働契約)」について、確認しておきましょう。

 

有期契約社員とは?

 

 従業員を雇用する場合には、必ず「労働契約の期間」について、あらかじめ契約をしておく必要があります。

 これは、正社員でも、パートアルバイト等であっても同じです。

 

 「労働契約の期間」の種類は、大きく分けて2つあります。

 「労働契約の期間は定めない」と、「労働契約の期間を定める」のどちらかを選択します。

 

 「労働契約の期間は定めない」とすると、

 従業員の申し出により退職する場合や、解雇事由等に該当する場合を除き、基本的には、定年年齢まで雇用を継続することになります。

 

 一方で、「労働契約の期間を定める」とする場合は、原則として、3年以内で契約期間を定め、契約期間満了にて契約を終了するか、契約の更新を行うことになります。

 

 「労働契約の期間を定める」場合は、原則として、契約期間内は解約することができませんので、長期拘束にならないよう、労働契約の最長期間を3年間と定めているのです。

 (契約期間内に解約する場合は、相手方に生じた損害を賠償する義務を負う)

 

 このように労働契約の期間を定めて雇用されている従業員のことを「有期契約社員(有期労働契約)」といいます。

 

有期契約社員の無期転換ルールとは?

 

同一の使用者との間で、有期契約の期間が5年を超えて更新された場合に、本人からの申し込みにより、無期雇用契約に転換されるルールのことをいいます。

有期契約の期間が5年を超えた有期契約社員から、使用者に対して無期転換の申し込みをした場合は、使用者の意思に関わらず、法的に無期労働契約が成立することになります。【労働契約法第18条】

 

有期契約社員との雇用契約のポイント

 

有期契約社員との雇用契約の仕方やポイントは?

 

 「有期契約社員」を雇用する場合には、労働条件通知書などの書面により、「労働契約の期間」、「契約更新の有無」、そして、「契約更新がある場合はその判断基準」を明示する必要があります。

 

 具体的には、次のように明示します。

1.労働契約の期間

原則として、3年以内の期間で定める。

※例外・・・

①土木建設など一定の事業の完了までに必要な期間を定める場合は、その事業の終期まで(5年を超える期間を定めることも可能)

②認定職業訓練を受ける場合で、訓練期間の最長終期まで

③専門的知識等(博士、医師、士業等)を有する労働者であって、

その業務に従事する者(最長5年まで)

④満60歳以上の労働者(最長5年まで)

2.契約更新の有無

・契約更新なし

・契約更新あり(契約更新する可能性も含む)

3.契約更新の判断基準

契約更新ありの場合の判断基準の例・・・

①     職務遂行能力

②     職場適用能力

③     勤務態度、勤怠状況

④     契約更新時の業務の有り無しや業務量

⑤     健康状態

⑥     会社の業績や経営状況

など

 

※2024年4月1日から、法改正が行われ、「労働条件明示事項」が新しく追加されました。

有期契約社員については、上記の項目に加えて、次の項目が新たに追加されます。

4.雇い入れ直後の就業場所・業務の内容+その「変更の範囲」

 (※有期契約社員に限らず、すべての労働者が対象になります。)

就業場所や業務の内容に限定がない場合の例・・・

  • 就業場所 (雇入れ直後→広島支店、変更の範囲→すべての支店、労働者の自宅での勤務、会社の定める場所など)
  • 業務の内容 (雇入れ直後→営業事務、変更の範囲→会社内でのすべての業務)

※なお、就業場所や業務の内容を限定する場合は、その旨を明示するなど、出来る限り、その範囲を明確にしましょう。

5.「有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限」の有無とその内容

通算契約期間または更新回数の上限がある場合の例・・・

  • 通算契約期間は、4年を上限とする。
  • 契約更新回数は、3回までとする。

※更新上限がなかった場合に、新たに上限を設定したり、短縮しようとする場合は、事前に、その理由を書面により説明することが必要です。

6.無期転換を申し込むことができる旨+無期転換後の労働条件

(※無期転換申込権が発生する有期契約社員が対象になります。)

同一の使用者で通算契約期間が5年を超える有期契約の記載例・・・・

【本契約期間中に会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結の申し込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日( 年 月 日)から、無期労働契約に転換することができる。この場合の本契約から労働条件変更の有無(無・有(有の場合は別紙の通りとする。))】

 

 「労働契約の期間」についての内容は、あくまでも労使の合意に基づき労働条件通知書等の書面において定めるものです。

 会社の一方的な判断や、同意のない有期契約などは無効になりますので、注意が必要です。

 そして、労働契約を更新する際にも、あらためて労働条件通知書等の書面を作成し、労働条件についてしっかりと明示しておきましょう。

 

有期契約社員を雇用するメリットは?

 

 前述した通り、「有期契約社員」の場合は、更新時の状況により更新の有無を判断することが出来るため、会社としては人件費が安く、リスクを最小限にして採用しやすいというメリットがあります。

 また、「有期契約社員」を継続して契約更新することも出来ますが、従業員の能力や業績などに応じて、将来的には正社員にすることも可能です。

 「有期契約社員」であっても、正社員と同じように労働基準法が適用されるため、有給休暇の付与や社会保険等への加入をする必要がありますので、注意が必要です。

 

有期契約社員に関する助成金はある?

 

1.キャリアアップ助成金

 

 「有期契約社員」に関連する助成金で、「キャリアアップ助成金」があります。

 

 この助成金は、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換した場合などに、対象者一人当たり57万円(生産性要件に該当する場合は72万円)が支給されるものです。

 

 この助成金の対象労働者は、「正規雇用労働者とは異なる雇用区分の就業規則等」の適用を通算して「6か月以上」受けて雇用されている有期雇用労働者等が該当します。

 

 対象労働者が、有期雇用労働者の場合は、雇用された期間が通算して3年以内であることや、会社に定年制がある場合は、正規雇用労働者への転換日から定年までの期間が1年以上であることも要件になります。

 

2.65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

 

 「有期契約社員」に関連する助成金で、「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)」というものもあります。

 

 この助成金は、「50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者」を無期雇用労働者に転換させた場合に、対象者一人当たり48万円(生産性要件に該当する場合は60万円)(中小企業の場合)が支給されるものです。

 

 対象となる労働者は、雇用される期間(平成25年4月1日以降に締結された契約に係る期間)が転換日において通算して6か月以上5年以内であって、50歳以上64歳未満(定年年齢未満)の有期契約労働者であることが要件となります。

 また、高年齢者の雇用の確保のため、作業の改善や賃金制度の見直し等をいずれか一つ以上行う必要があります。(高年齢者雇用管理措置)

 

 

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