新型コロナウイルス感染症が発生して2年半が過ぎました。
現在第7波が国内で猛威を振るい、1日当たりの感染者数が連日過去最高を更新しており、不安な気持ちで過ごしている人も多いと思います。
経営者の方は、
「従業員がコロナに感染したら、どのような対応をするべきなのか?」
「仕事を休むことになった場合は、休業手当などが必要なのか?」
などという心配事もあると思います。
社会保険に加入していれば、新型コロナに感染し4日以上休業した場合に傷病手当金が給付されることをご存知でしょうか?
目次
傷病手当金とは
傷病手当金とは、従業員が業務外のケガや病気で就労できず会社を休んだ場合に支給されます。
支給要件は以下のとおりです。
*1 支払われる給与より傷病手当金のほうが多い場合は、給与と傷病手当金との差額が支給されます。 |
待機期間とは
病気やケガで会社を連続で休んだ3日間のことを待機期間といいます。
この3日間には、代休や有給休暇、休日である土日、休日、祝日、公休日、年末年始も含みます。
傷病手当金は、待機期間の後、つまり休業後4日目以降から発生します。
新型コロナ感染症に感染した場合の支給要件
新型コロナに感染した場合は、さらに以下の要件も必要になります。
①または②に該当し、なおかつ傷病手当金の支給要件を満たしていれば、傷病手当金が支給されます。 ※「陰性」で症状のない方は対象になりません。 |
傷病手当金の支給額はいくら?
傷病手当金の1日当たりの支給額は、下記の計算式にて算出されます。
1日あたりの支給額 = 直近1年間の標準報酬月額平均額の30分の1*×3分の2 |
(例)標準報酬月額が30万円の場合の傷病手当金の1日当たりの金額
30万円÷30日×2/3=約6,666円
つまり傷病手当金の支給総額は、
直近1年間の標準報酬月額平均額の30分の1* × 3分の2 × 支給日数 となるのです。
*被保険者期間が1年未満の場合は、資格取得後の平均額か、協会けんぽ全被保険者の平均額のいずれか低い額で計算されます。
傷病手当金の支給期間はいつまで?
傷病手当金は、支給開始日から通算して1年6か月の期間を限度として支給されます。
この1年6か月の期間内で出勤した後再び同じ支給要件で欠勤した場合は、支給期間内であれば手当金が支給されます。
傷病手当金の申請方法は?
傷病手当金支給申請書を保険者(協会けんぽ各支部等)へ提出します。申請の際には医師の意見書と、就業実態や賃金内訳等の労務に関する証明が必要となります。
併せて、新型コロナに感染し、医師の証明が取得できない場合は、療養状況申立書も必要になります。
<注意>傷病手当金の申請には時効があります。
傷病手当金の時効は、休業日の翌日から2年です。
(例)8月1日から8月31日まで労務不能だった場合の申請期限
8月1日:2年後の8月1日
↓ ↓
8月31日:2年後の8月31日
※傷病手当金は労務不能日に対して給付金が支払われるため、1日ずつ時効が起算されます。
その他の公的手当を受給している場合、傷病手当金は申請できません。
障害手当金、労災保険から休業補償給付などを別で受け取っている場合は基本的に傷病手当金を申請することができません。
ただし、受け取っている手当金が傷病手当金より少ない場合は、その差額を受け取ることができます。
こんな時、傷病手当金はもらえる?
医療機関のひっ迫により医療機関に受診できず、症状が現れてから日数が経ってから陽性の診断が出た場合や、濃厚接触者となった場合など、様々なケースがあります。
新型コロナウイルス感染症にかかる傷病手当金の支給について、主なケースを紹介いたします。
<ケース1>同居する家族が感染し、濃厚接触者となったために休暇を取った場合(無症状)
被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されません。
<ケース2>発熱などの自覚症状があり数日間自宅療養した後に医療機関に受診し、感染が確認された場合、受診日前の期間も労務不能とカウントできるのか?
医師の診察の結果、初診日前に労務不能の状態だったと認め、意見書に記載した場合は、労務不能期間となりえます。
また、医師の労務不能の証明が受けられない場合は、療養状況申立書を提出する必要があります。
なお、感染確認の検査をせず、自覚症状がない場合は労務不能とはなりません。
<ケース3>PCR検査の結果陽性と判明し、自宅やホテルで療養しており医療機関に受診できず、医師の証明が得られない場合
医師からの証明が得られない場合は、「療養状況申立書」に症状・経過等を詳細に記入し、傷病手当金申請書の療養担当者記入欄(=医師の証明欄)の代わりとして申請書に添付することで、申請することができます。
<ケース4>事業所内で新型コロナ感染者が発生し事業所全体が休業した場合
対象とはなりません。
傷病手当金は、業務災害以外の理由による疾病やケガにより被保険が労務に服することができないときに給付されるもののため、被保険者自身が労務不能と認められない限り支給されません。
このように、使用者の責に帰すべき理由による休業の場合、労働基準法に基づき、休業期間中の休業手当を支払う必要があります。
まとめ
新型コロナウイルス感染症による傷病手当金の申請については、通常の傷病手当金とは支給要件や申請方法が一部異なります。
あくまでも、PCR検査の結果が陽性か、陰性でも発熱等の自覚症状がある被保険者自身が対象となります。
また、傷病手当金を申請するためには、医師からの証明のほか、勤務実績や賃金の内訳を企業側で証明する必要があります。
当社労士事務所では傷病手当金の申請代行をおこなっておりますので、申請要件や申請方法についてご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。
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