日本の外国人労働者数は173万人を超え、28万以上の事業所で雇用され(2021.10時点)、大きな労働力となっています。

 外国人の雇用を検討しているけれど、どのような手続きをしたらいいのか、雇用後留意しなければならないことなど不安に思う経営者も多いと思います。

 今回は、外国人を雇用する際に知っておきたい事項を、募集から雇用まで一連の流れで説明します。

 

外国人の雇用方法

 外国人を雇用するにはおもに以下の5パターンがあります。

  1. 日本に招聘
  2. 留学生を新卒採用
  3. 日本で就労中の外国人を中途採用
  4. アルバイト・パート雇用
  5. 技能実習生受入

 今回は、ケースとして多いと考えられる2.3.4.に関する手続きについて説明していきます。

 いずれの場合でも、外国人を雇用するにあたっては下記のポイントを押さえておくとよいでしょう。

 

外国人雇用のポイント

外国人労働者の職務を明確にしましょう。

 外国人が就労する際には在留資格が必要です。在留資格は従事する業務内容から判断されるため、職務内容の詳細を決めておく必要があります。また、国によっては、職務内容が労働者の責任範囲であるとし、それ以外の職務は責任範囲外と考えることもあるため、入社後のトラブルを未然に防ぐためにも職務内容を明確にし、労働者の合意を得ることが大切になります。

在留資格と在留期限を確認しましょう。

 外国人が日本で就労するためには、就労可能な在留資格を持ち、在留資格の範囲内の業務を在留期間内で働くことが求められます。

企業がおこなう手続きを確認しましょう。

 在留資格の申請は確実におこないましょう。雇用保険・社会保険等は日本人外国人区別なく加入することになっています。詳細は後述します。

募集方法を検討しましょう。

 外国人の求職者の目に留まりやすい媒体か、求人内容は外国人が分かりやすいかなどを確認しましょう。

労働条件は書面で合意し、重要な内容は口頭で確認しましょう。

 外国人労働者とは、日本語能力や文化的背景の違いにより、日本人同士のような「言わなくても分かるだろう」は通用しません。

 入社後のトラブルを避けるためにも、合意した内容を書面に残し署名をもらうことは有用です。

 その際、書面での合意だけでなく、口頭で説明し確認をとることが望ましいでしょう。

 日本語能力により書面の内容を理解しきれない可能性もあることから、 内容を確認しながら「やさしい日本語」など平易な日本語で説明し、理解してもらうことが大切です。

外国人労働者を受け入れるための環境を整えましょう。

 初めて外国人労働者を受け入れる場合、外国人が働く適切な環境を整える必要があります。

 就業規則や業務マニュアル・掲示物等が外国人労働者にも理解できる内容かだけでなく、受け入れる周囲の社員にも教育を施し、必要な援助等について理解を深めてもらうことも大切です。

外国人労働者についての理解を深めましょう。

 外国人は日本人とは異なる配慮が求められる場面があります。また、日本の職場での「常識」が外国人労働者に通用するとは限りません。

 受け入れる企業は外国人労働者の状況を理解し、普段からコミュニケーションをとることで、外国人労働者が速やかに職場に適応し、長く働けるようにサポートするよう心がけましょう。

外国人労働者とのトラブルに適切に対応しましょう。

 小さな誤解や文化の違いからトラブルに発展することがままあります。

 トラブルを未然に防ぐために、日ごろからコミュニケーションを十分にとり、争いとなった際には相手の言い分をよく聞いて話し合うことが大切です。

 

受け入れ準備

 外国人労働者は日本人とは異なる考え方や行動様式を持つことから、企業側・労働者ともに十分な準備が必要です。

 企業側においては、実際に外国人労働者を受け入れる現場でも受け入れ態勢を整えておくことが必要です。

 外国人労働者は日本で働く上で基本的な制度(試用期間、時間外労働など)についての知識がないこともあるため、十分コミュニケーションをとり、1つずつ理解しているか確認しながら準備をすすめましょう。その際、不安な点や配慮を求めたいことを聞き、対応を考えることが大切です。

 

健康診断の実施

 指定する医療機関が外国人の健康診断に(外国語で)対応できるか確認しておきましょう。

 雇入れ時の健康診断は外国人労働者も必須です。(労働安全衛生法66条、労働安全衛生規則43条)

 (ただし、1年未満の雇用期間の者や、週所定労働時間が正社員等の4分の3未満の労働者は対象外。)

 雇入れ時の健康診断の項目は次の通りです。 

健康診断項目

・既往歴および業務歴の調査

・自覚症状および他覚症状の有無の検査

・身長、体重、腹囲、視力、聴力検査

・胸部エックス線検査

・血圧測定

・貧血検査

・肝機能検査

・血中脂質検査

・血糖検査

・尿検査

・心電図検査

 また、3カ月以内に医師による健康診断を受けた者が、その結果を証明する書面を提出した場合は、その項目を省略することが出来ます。

 中には健康診断受診を疑問に思ったり拒否する者もいるかもしれませんが、その際は会社の法律上の義務であり労働者の健康管理のために必要であることを説明し、理解してもらいましょう。

 また、受診する労働者へはあらかじめ健康診断項目を説明し、当日の注意事項や検査の流れについて知らせておきましょう。事前に説明することで労働者の不安を軽減する効果があります。

 日本の医療機関での受診が初めてという外国人労働者の場合は、必要に応じて企業の担当者が同行するなどして外国人労働者のストレスを軽減できることが望ましいです。

 

労働条件の説明

 労働条件については、労働条件通知書・労働契約書の交付時に詳細な説明をおこないましょう。

 外国人労働者は、日本で働く上で基本的な制度(試用期間、時間外労働など)についての知識がなかったり、文化背景の違いにより日本企業では通常の制度でも理解していないこともあります。

 特に残業した場合の待遇などは丁寧に説明し、納得を得ることが大切です。

 

契約の更新

 外国人労働者の場合も、期間の定めのある労働契約と、期間の定めのない労働契約を締結することが出来ます。(ビザ等の関係で就業可能であるかは別問題です)

 有期労働契約の場合は、原則として、3年以内とされています。(労基法14条1項)

 契約期間については、当該職務に必要な期間などを考慮して決定しましょう。

 外国人と期間の定めのある労働契約を締結する場合は、契約更新の制度についても説明しておきましょう。外国人労働者にとって今後の日本での生活の見通しを立てるために重要です。

 

住居の確保

 特に日本に住んだことがない外国人の場合、土地勘がなかったり日本語での情報収集が十分でない可能性があり、自力での住居確保は困難が予想されます。

 また、外国人が日本で住宅を借りる場合、貸主は入居者が外国人であると敬遠したり、保証人がいないなど契約要件を満たさず手続きがうまくいかない場合があります。

 このような煩雑な手続きを避けるため、企業が賃貸住宅を借り上げるか、社宅を提供するケースが多くみられます。

 いずれの場合でも、入居後および退去後のトラブルを避けるために、提供基準や利用ルールを書面で確認し、誓約書等により規則を理解したことを明らかにするのがよいでしょう。

 家賃の負担額や管理費、光熱費、インターネット利用料等の負担だけでなく、損害賠償や原状回復義務についても就業規則などで定めておくのがよいでしょう。

 また、入居前には居住者の制限や騒音・ゴミ出しなど生活上のルールを説明し理解を得ることも大切です。外国人の中には住宅の利用感覚が異なる者もいるため(夜中に大勢を招く、居住者以外の者を住まわせる、大声で会話する等)、常識だから分かるだろうと思わず書面にし、了承のサインをもらうなど理解を共通にしておくことも大切です。

 

研修等の職場への受入れ準備

 外国人労働者がスムーズに職場になじみ活躍できるよう、入社時に集中して研修する企業も多いでしょう。入社時におこなう研修としては

・職務に関する研修

・日本のビジネスマナーや慣習に関する研修

・日本語研修

が考えられます。

 また、受け入れる職場に対しても、指導担当者の配置や、日本語の理解のためゆっくり話すなどの配慮、担当職務や指導方法について事前に決めておくことが望まれます。

 

行政関係等の手続き

住民登録

 在留期間が3か月を超える外国人は、原則住民登録が必要となります。

 住所を定めた日から14日以内に居住地の市町村窓口で手続きをすることになります。

 転入届など英語の書式がある自治体も多いですが、書く項目や窓口での証明書の提示などサポートが必要なことが多いため、社員などが登録に付き添うことでスムーズに手続きができます。

 

マイナンバー

 マイナンバーとは、日本に住民票を持つすべての者が持つ12桁の番号で、社会保障や税金に関する手続きの際に必要なものです。

 住民登録をおこなうと、数週間後に簡易書留で通知カードが届きます。しかし、日本語の郵便物が送られるため、外国人労働者の中には理解できず捨ててしまう可能性もあります。

 住民登録をした際に、マイナンバー制度について説明し、通知カードは各自で管理するよう伝えておくことが望まれます。

(参考)マイナンバーに関する外国語の説明 ←クリック

 

銀行口座の開設

 給与の受け取りや母国からの送金受領等、日本で銀行口座を開設することが必要になります。

 銀行によって口座開設に必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。なお、銀行によっては手続き窓口を予約制としているところもあります。

 また、最近は印鑑の代わりに直筆サインを認めている銀行が増えていますが、口座開設に印鑑が必要か事前に確認し、必要に応じて印鑑を作成させましょう。印鑑を注文すると数日から1週間かかる場合もあるため、早めに準備しておくことが必要です。

 

最後に。

 外国人労働者は、日本人とは異なる考え方や行動様式を持つことから、小さな誤解や文化の違いからトラブルに発展することがあります。

 トラブルを未然に防ぐためにも、日ごろからコミュニケーションを十分にとり、ひとつずつ確認し合意を重ねていくことが大切です。

 また、相手の文化背景を尊重し理解を示すことで外国人労働者が安心して働くことができると考えられます。

 入社後の労務管理については日本人も外国人も同じです。社会保険や労働保険、給与水準等待遇に差別することがないよう、制度を整えておくことが求められます。

 外国人の雇用や労務管理について、ご不明な点がありましたら当事務所へご相談ください。

 

 

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