ハラスメントにより、年間約87万人が離職―。(ITメディア ビジネス オンライン11/18)

 パーソル総合研究所による「職場のハラスメントに関する調査」で判明したこの事実をどう思いますか?

 「うちの会社は大丈夫」と思っている経営者も多いかもしれません。

 しかし、上記のうち7割近くが退職理由としてハラスメントがあったことを会社に伝えていないのです。

これは、会社側は把握できていない可能性があるということです。

 

 ハラスメントには様々な種類があるのはご存知かと思いますが、職場で主に発生しているのは、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、アルコールハラスメントでしょうか。

 今回は、そのうちのパワーハラスメントについて説明していきたいと思います。

 

なぜハラスメント対策が重要なのか

 ハラスメントは、働く人の能力を十分に発揮することの妨げになることはもちろん、個人の尊厳や人格を不当に傷つける、人権にかかわる許されない行為です

 企業にとっても、職場秩序の乱れや業務に支障が生じ、貴重な人材の損失につながり、社会的評価にも悪影響を与えかねない大きな問題です。

 2020年6月「労働施策総合推進法」通称パワハラ防止法が施行され、職場におけるパワーハラスメント対策が義務付けられました。

中小事業主も2022年4月から義務化され、今は事業規模に関わらずすべての職場でパワーハラスメントへの対策が求められています

 

パワーハラスメントとは

パワーハラスメントとは

①       優越的な関係を背景とした言動であって

②       業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

③       労働者の就業環境が害されるもの

①②③の要素をすべて満たすものをいいます。

 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワーハラスメントには該当しません。

 

① 優越的な関係を背景とした言動とは

 業務を遂行するにあたり、労働者が行為者に対して抵抗や拒絶できない可能性が高い関係を背景として行われるものを指します。

(例)

・職務上の地位が上位の者による言動

・同僚・部下による言動で、業務知識や豊富な経験を持ち、協力がないと業務が円滑に進まないこと

・同僚・部下からの集団による行為で、抵抗や拒絶が困難なもの

 

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動とは

 社会通念上、明らかに業務上必要性がない、またはその態度が相当でないものを指します。

(例)

・業務上明らかに必要性のない言動

・業務の目的を大きく逸脱した言動

・業務遂行の手段として不適当な言動

・当該行為の回数、行為者の数、その態様や手段が社会通念上許容される範囲を超える言動

 

 ただし、この判断にあたっては、様々な要素を総合的に考慮することが必要です。

(当該言動の目的や頻度・継続性、その言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度などの経緯や状況、業務内容や性質、行為者との関係性など)

 とはいえ、たとえ労働者に問題行動があった場合でも、人格を否定するような言動など、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、パワーハラスメントに該当します。

 

③ 労働者の就業環境が害されるとはどの程度をいうか

 当該言動により、労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。

 この判断にあたっては、同様の状況で当該言動を受けた場合、「一般的に就業上看過できない程度の支障が生じたと感じる言動か」を基準にするのがいいでしょう。

 なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的または精神的苦痛を与えるほどのものであれば、1回でも就業環境を害する場合がありえます

 

パワーハラスメントの起こりやすい場所

 パワーハラスメントが最も起こりやすいのは職場であることはご存じでしょう。

 では、「職場」とはどこまでを言うのでしょうか?

 「職場」とは、いつも働いている場所だけを言うのではありません。

 出張先や、業務で使用している車の中、取引先との打ち合わせの場所も「職場」です。

 勤務時間外の「懇親会の場」や社員寮、通勤中など職務の延長と考えられるものは「職場」に該当します。

 ただし、その判断は、職務との関連性や参加者、参加・対応が強制か任意かなどを考慮した上で個別に判断する必要があります

 

パワーハラスメント防止対策の対象となる労働者とは

 上記「パワーハラスメントとは③労働者の就業環境が害されるもの」に記述されている「労働者」は、正規雇用社員だけではなく、パートタイム労働者、契約社員なども含む、事業主が雇用するすべての労働者をいいます。

 また、派遣労働者については、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主も措置を講じる必要があります。

 

パワーハラスメントに該当する例/しない例

 パワーハラスメントの状況は多様ですが、代表的な言動は6つの類型があります。

 個別の状況により判断が異なることもありえますが、参考として下表を確認しましょう。

(厚生労働省 都道府県労働局 雇用環境・均等部作成パンフレットより)

 

ハラスメント防止のためになすべきこと

 2020年6月の改正法施行により、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント防止のために、以下の責務規定が定められています。

 あわせて、事業主が雇用管理上講ずべき措置も定められています。

(厚生労働省 都道府県労働局 雇用環境・均等部作成パンフレットより)

 事業主はこれらの措置を必ず講じなければなりません。

 

最後に(ハラスメント防止対策の基本)

 パワーハラスメント防止対策について、「法律が施行されたからやらなければならない」という意識で取り組んでも効果はあまり出てきません。

 事業主や職場のトップが毅然とした態度で、「ハラスメントは許さない」という態度を示し、職場の機運を醸成することが大切です。

 同時に、従業員一人ひとりが互いに尊重しあい、日ごろから円滑にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことも求められます。

 また、小さなトラブルが起こったら、見過ごさずに早めに対処することも大切です。

 具体的な対策などのご相談がありましたら、ぜひ当所へお問い合わせください。

 

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