今年度は過去最大の引き上げ幅と報道されている最低賃金。

 2022年10月に、昨年度から31円、3.3%の引き上げ幅になる961円(全国平均)と決まりました。

 最低賃金を守らなければいけないのは知っているけど、日給や月給者の場合は最低賃金を守るために給与をどう設定したらいいか、最低賃金が上がる日にかかる給与計算はどうしたらいいかなど、お悩みの経営者の方も多いと思います。

 今回は、最低賃金についての解説と、最低賃金を守るための計算方法など具体的な対応方法について説明していきます。

最低賃金とは

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

 そのため、定められた最低賃金より(時給換算で)1円でも下回った場合には罰則が定められています。

 また、最低賃金を1円でも下回った求人を掲載することは法律違反となり掲載の継続が出来なくなる場合もあるので注意が必要です。

 

最低賃金はいつから適用される?

 最低賃金が決まるのは、おおよそ毎年8~9月、適用は10月からが一般的です

 ただし、新しい最低賃金が適用される日(=発効年月日)は都道府県ごとに異なります。

 給与計算においては、最低賃金の発効年月日から新しい最低賃金額で計算する必要があります。

  (例)最低賃金発効日が10/1の都道府県で、毎月20日締めの企業の9月給与(9/21~10/20)を計算する場合

       9/21~30 最低賃金で計算

       10/1~20 最低賃金で計算 

 

最低賃金の種類

 最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業)最低賃金」の2種類があります。

 

 地域別最低賃金とは

   地域別最低賃金は、47都道府県ごとに決められている最低賃金です。

 特定(産業)最低賃金とは

   特定(産業)最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。

   基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金が設定されています。

 

従業員の給与が最低賃金額を下回っていないか確認しましょう。

 支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 

最低賃金の対象となる賃金とは

  最低賃金の対象となる賃金は、基本給、職務手当、役職手当等、毎月支払われる基本的な賃金です

  なお、通勤手当や家族手当、時間外手当等は対象外となります。

 

自社の賃金が最低賃金を下回っていないか? ~計算してみましょう~

(1) 時間給制の場合

   時間給≧最低賃金額(時間額)

(2) 日給制の場合

   日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

  ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

   日給≧最低賃金額(日額)

(3) 月給制の場合

   月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

   出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 (参考)厚生労働省HP「最低賃金額以上かどうか確認する方法

 

最低賃金制度が適用される労働者

 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。

 特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者すべてに適用されます。

 どちらも、正社員、嘱託社員、出来高制、パートタイム、アルバイトなど雇用形態や、試用期間中などに関わらず、すべての労働者に対して最低賃金を守らなければなりません。

 

 ただし、例外はあります。

 次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

 

(1) 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方

(2) 試の使用期間中の方

(3) 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方

(4) 軽易な業務に従事する方

(5) 断続的労働に従事する方

 

 これは、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるための特例であり、むやみに許可を受けて最低賃金の減額をおこなうものではありません。

 

最低賃金を下回っていたらどうなる?

 最低賃金を1円でも下回っていれば、たとえ労働者と使用者双方が合意して最低賃金よりも低い賃金で契約をしたとしても法律によって無効とされ、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

 また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。(最低賃金法第40条)

 同じく、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。(労働基準法120条第1号)

 

最低賃金の引き上げに関連した助成金があるのをご存じですか?~2022年度業務改善助成金~ 

 最低賃金を引き上げた中小企業や小規模事業者が、生産性向上のための設備投資などの取り組みをおこなう場合に支給される助成金があるのをご存知でしょうか。

 業務改善助成金(通常コース)は、事業場内最低賃金を30円以上引き上げた中小企業等に対して、設備投資等の費用の75%~90%(最高上限額600万円)が支給されるものです。(助成上限額600万円:90円コースで対象労働者10人以上に90円以上引き上げた場合。)

 

 事業場の規模が100人以下であって、事業場内最低賃金が地域別最低賃金の30円以内である中小企業等は、この業務改善助成金を受給できる対象になりますので、検討してみることをおすすめします。

 

 当社労士事務所では、業務改善助成金の申請に関するアドバイスや申請手続きの代行をおこなっております。興味がありましたらぜひお問い合わせください。

 

まとめ 

・最低賃金の適用は10月からが一般的ですが、新しい最低賃金が適用される日(=発効年月日)は都道府県ごとに異なります。

・最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業)最低賃金」の2種類があり、定められた最低賃金より(時給換算で)1円でも下回った場合には罰則が定められています。

最低賃金の対象となる賃金は、基本給、職務手当、役職手当等、毎月支払われる基本的な賃金、通勤手当や家族手当、時間外手当等は対象外となります。

・給与計算においては、最低賃金の発効年月日から新しい最低賃金額で計算する必要があります。

・最低賃金を引き上げた中小企業や小規模事業者が、生産性向上のための設備投資などの取り組みをおこなう場合に支給される業務改善助成金が申請可能です。

 (参考)厚生労働省HP地域別最低賃金一覧(令和3年度)」「地域別最低賃金(令和4年度の改定目安)」「特定最低賃金額一覧(クリックすると詳細が見られます。)

    ※2022.8.8現在、令和4年度の地域別最低賃金は審議中。

 

 

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