今年10月から社会保険が大きく変わることをご存知の経営者の方は多いと思います。
従業員が少ない中小企業も加入を求められ、パート・アルバイト従業員も多くが加入することになりそうだ、それによって会社が負担する社会保険料も一気に増え、毎月支払う金額が重くのしかかる・・・と心配になっているかもしれません。
今回は、社会保険の概要と、10月から変更される社会保険の加入要件について説明いたします。
目次
社会保険とは?
経営者の中には、社会保険に加入しなくても、従業員は国民健康保険に入っていれば問題ないのではないかと思っている方もいらっしゃると思います。
では、そもそも、社会保険とはいったい何でしょうか?
社会保険は大きく3種類に分かれています。(下表)
社会保険の種類
種 類 | 保 険 の 内 容 | 加 入 対 象 | 加 入 者 |
健康保険 |
業務外で病気やケガをしたとき、出産したとき等に給付 |
①すべての法人事業所 ②常時5人以上雇用する個人事業所 |
75歳まで |
介護保険 |
介護が必要になった際に介護サービスが受けられる。 |
40~64歳までの健康保険の加入者 |
|
厚生年金保険 |
老齢・障害・死亡時等に給付 |
70歳まで |
社会保険に加入していると、保険料は会社(事業主)と従業員が折半して支払います。
一方で、国民健康保険は事業主負担がないため、全額被保険者が納付しなければなりません。加えて、傷病手当金や出産手当金がありません。
従業員にとっては、社会保険がある会社の方が魅力的なのは明らかです。
国民健康保険・国民年金と社会保険(健康保険・厚生年金)の違い
|
国民健康保険・国民年金 |
社会保険 (健康保険・厚生年金) |
従業員負担額 |
全額 |
半額(事業主と折半) |
老齢年金(受取) |
基礎年金のみ |
基礎年金+厚生年金 |
障害年金(受取) |
||
遺族年金(受取) |
||
傷病手当金 |
なし |
あり |
出産手当金 |
なし |
あり |
10月から社会保険はどう変わる?
現在は従業員数501人以上の企業に適用拡大されています。
それが、10月からは社会保険適用拡大の対象となる企業規模は、従業員数101人以上と適用拡大されます。
また、2年後の2024年10月には従業員数51人以上の企業に適用拡大されることになっています。
※ここで言う従業員数とは、厚生年金保険適用対象者のことを表します。
社会保険の加入対象者は誰?
社会保険の加入対象者は、
正社員(厚生年金保険適用対象者)+週の労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員
になります。
そのうち、パート・アルバイトの加入対象者は、
|
のすべてを満たす従業員となります。
10月の適用拡大対象事業所ではないが、社会保険に加入したい場合はどうしたらいい?
<ケース1>従業員100人以下の企業のパート・アルバイト従業員も社会保険に加入したい。
申出によりパート・アルバイト従業員も社会保険に加入することができます。(=任意特定適用事業所)
加入するには、被保険者になるべき人の2分の1以上の同意、または過半数を代表する者の同意と、各種届出書類の提出が必要となります。
<ケース2>従業員5人未満の事業所が社会保険に加入したい。
申請により年金事務所等の認可を受けて社会保険に加入することができます。(=任意適用事業所)
加入するには、被保険者になるべき人の2分の1以上の同意、および各種申請書類の提出が必要となります。
社会保険に加入することのメリット
社会保険に加入することで、企業側の負担は増えることから、事業主の方の中には加入をためらう方もいると思います。
しかし、社会保険に加入することで福利厚生が充実し、人材確保の観点から有利に働くことが期待できます。
産前産後や育児休業を予定している従業員は、産休育休期間中の社会保険料が免除になることで負担も軽くなりますし、定年退職後は厚生年金分も受給できることから、従業員は安心して長く働くことができるのです。
今回社会保険の適用拡大の対象にならない企業でも、加入することで人材確保が有利になると期待できます。社会保険に加入している企業を勤務先の条件とする求職者もいることから、社会保険完備の企業の魅力は大きいのです。
最後に。
10月の制度改正に伴い、社内準備に活用できる助成金や、施行期日前に適用することで優先的に受け取れる補助金があるのをご存知でしょうか?
申請方法を具体的に知りたい適用拡大の対象事業所の方、社会保険に加入しようか迷っている小規模事業主の方、その他もっと詳しく知りたい方は、ぜひ当社労士事務所までお気軽にお問い合わせください。
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