従業員を雇用したら、様々な事務手続きを速やかにもれなくおこなわなければなりません。
 社会保険や雇用保険などの社外的なものだけでなく、社内的な手続きもあります。
 今回は、従業員を雇用した際の主な手続きについての説明をしていきます。

雇用にあたって必要な手続き

 従業員を雇用したらやるべき主な手続きは、
 雇用保険への加入、社会保険への加入、住民税の特別徴収への切替え、その他の社内手続きがあります。
 これらの手続きをおこなう前に、雇用した従業員からあらかじめ情報を集めておく必要があります。
 入社初日など早いうちに、以下の情報を社員から集めておきましょう。

入社手続きに際し必要な従業員情報

 雇用時の手続きをおこなう際に必要な従業員の情報は、以下のとおりです。

<必要な従業員情報>

必要な情報 必要書類
氏名、生年月日、性別、現住所 履歴書
マイナンバー マイナンバーカード、通知カード、住民票等
入社日、所定労働時間、基本給および各種手当額、残業手当見込額 雇用契約書等
基礎年金番号 年金手帳、基礎年金番号通知書等
雇用保険被保険者番号 雇用保険被保険者証
本年分の源泉徴収額(前職がある場合) 源泉徴収票
扶養する家族の有無 扶養控除等(異動)申告書

 

<扶養する家族がいる場合の、必要な家族情報>

必要な情報 必要な書類
氏名、生年月日、性別、現住所 扶養控除等異動申告書、社内書式等
続柄、同居の有無 被扶養者の戸籍謄本、世帯全員の住民票等
別居の場合仕送り送金額 振込証明書等
マイナンバー マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー入り住民票等
収入額 課税(非課税)通知書、年金支払通知書、雇用保険受給資格者証の写し等
基礎年金番号 年金手帳、基礎年金番号通知書等

 

注意!取得した個人情報は厳重に管理しましょう。

 入社手続きには、従業員だけでなくその家族の個人情報も提出してもらうことになります。

 それらには、マイナンバーや生年月日などの重要な情報も含まれるため、第3者に漏れることがないよう厳重に管理する必要があります。

 個人情報に関する書類は鍵付き書庫に保管する、情報を取り扱う人は最小限にして本人と担当者の間にできるだけ人を介在させない等、担当者以外の人が容易に情報を閲覧できないようにしておくことが大切です。

 

手続き1:雇用保険への加入

 「1週間の所定労働時間が20時間以上」であり、「継続して31日以上の雇用見込がある」従業員は、雇用保険に加入することになります。(ただし、学生は除きます。)

 雇用保険に加入するためには、事業所管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。前職などで雇用保険に加入したことがある人は被保険者番号があるので、その番号を用います。

 なお、提出期限は雇用した翌月の10日です。

 資格取得届を提出後、「資格取得確認通知書」一式が交付されます。その中に「雇用保険被保険者証」があるので、従業員に渡しましょう。

 

手続き2:社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入

社会保険の加入対象者

 社会保険は、正社員だけでなく、「1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上」のパートタイマーやアルバイトも加入対象になります。

 パートタイマーやアルバイトの加入要件となる事業所は、

・従業員が500人を超える特定適用事業所

・500人以下で労使合意が得られている任意特定適用事業所で
  ①週の所定労働時間が20時間以上および1年以上の雇用見込があり
  ②賃金が月額8万8千円以上の
  ③学生ではない
 となっています。

  なお、2022年10月より加入要件が変更されます。詳細は「2022年10月から社会保険の何が変わる?(クリック)」をご参照ください。

 

社会保険の加入手続き方法

 社会保険に加入するには、雇用開始から5日以内に届出を出さなければなりません。

 社会保険に加入するためには、年金事務所または健康保険組合へ「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。

 また、被扶養者がいる場合は、あわせて「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」も提出します。

 資格取得届を提出すると、従業員の健康保険被保険者証が交付されます。

 健康保険証が従業員の手元に届くまでには一定の日数がかかるため、医療機関に受診する必要があるなどすぐに必要な従業員がいる場合は、「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を提出し、「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらいましょう。

 

社会保険加入の手続きは速やかにおこないましょう。

 入社手続きで最も急ぎたいのは、従業員の健康保険被保険者証の交付です。

 手続きが遅れると、健康保険被保険者証の交付も遅くなってしまい、健康保険適用で診療できなくなる期間が長くなってしまいます。

 

手続き3:住民税の特別徴収への切替

 住民税を会社が本人に代わって支払うため給与から天引きする場合(=特別徴収)、従業員が居住する市区町村へ届出書を提出する必要があります。

 その際、前職から引き続き特別徴収をおこなう場合と、自身で支払っていたもの(=一般徴収)を特別徴収へ変更する場合とで手続き方法が異なります。

  1. 前職から引き続き特別徴収をおこなう場合
     前職の会社にて「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を従業員の居住する市区町村へ届出書を提出します。

  2. 一般徴収からの切替をおこなう場合
    「特別徴収切替届出(依頼)書」を従業員の居住する市区町村へ届出書を提出します。

 

手続き4:社内手続き

 労働者名簿への記入、給与計算ソフトへの登録(通勤経路の把握)、配置場所の決定・通知、備品の準備(社員証、デスク、パソコン、鍵、名刺等)などをおこないます。

 

【コラム】入社時ガイダンスのすすめ

~就業規則、守秘義務などは入社したらすぐに説明しましょう。~

 多くの従業員にとって就業規則や社内規程は「守らなければいけないことがあるのは知っているけど、具体的な内容はわからない」存在だと思います。

 会社として守ってほしいルールを従業員がよく分かっていないのは、後々大きなトラブルに発展するリスクがあります。

 しかし、就業規則を読むよう従業員に伝えても、日々の業務に追われていると就業規則をじっくり読むことは難しいかもしれません。

 そこでおすすめしたいのが、従業員を雇用したら入社後すぐに時間をとってガイダンスをすることです。会社側が守ってほしい事柄を直接説明することで、従業員に守るべきルールを理解してもらい、無用なトラブルを未然に防ぐ効果があります。

 その際、会社のルールを説明するだけでなく、従業員に期待することを明確に伝えると、従業員のモチベーションも上がり業務効率の向上も期待できるでしょう

 また、できれば、入社後すぐのガイダンスだけではなく、定期的に全社員向けに守秘義務の遵守やハラスメント防止などの意識づけをおこなうことも大切です。

まとめ

 雇入れ時におこなう手続き一覧

手続き内容

必要書類等

期限

届け出先

雇用保険加入

雇用保険被保険者資格取得届

雇用した翌月の10日

事業所管轄のハローワーク

社会保険加入

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

健康保険被扶養者異動届、

国民年金第3号被保険者関係届(被扶養者がいる場合)

雇用開始から5日以内

年金事務所または健康組合

住民税特別徴収

給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書*

または

特別徴収切替届出(依頼)書

入社後速やかに

従業員が居住する市区町村

各種社内手続き

労働者名簿への記入、給与計算ソフトへの登録(通勤経路の把握)、配置場所の決定・通知、備品の準備

入社後速やかに

 

*給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書は、前職の会社が提出します。

 

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