前回までで、書類選考方法(リンク)や面接による選考方法(リンク)について説明してきました。
今回は、最終面接・最後に確認すべきことと、面接結果からどのように採用内定者を決めたらいいか、そして入社日まで辞退されないためにどのような内定者フォローをしたらいいかについて説明していきます。
目次
最終面接/最後に確認しておくべきこと
複数回面接をおこなう企業であれば最終面接で、1回の面接で採否を決める場合は面接の最後に、入社意欲や仕事への意欲を確認しましょう。
大抵の応募者は「御社が第一志望です」「必ず入社します」と言いますが、その言葉を鵜吞みにするのではなく、目や表情、態度、言葉の抑揚などから本音を見極めることで、採用予定者を絞り込むのです。
なぜなら、ある人物を採用と決めて他の応募者に不採用通知を出した後で採用者から辞退されたら困るからです。
そのためには、志望動機、入社後にやりたい仕事、将来への夢、前職の退職理由などの質問をもう一度おこなってみるとよいでしょう。その際は面接終了を告げた後の「聞きたいことがあれば何でもどうぞ」のリラックスした場面を作ってからたずねるのがポイントです。
また、将来への展望や夢などを作文として書かせる方法もあります。
職務・職種別 面接の質問例と評価ポイント
職種を限定して採用する場合は、下記の質問例と評価ポイントを参考にして応募者を評価してみましょう。
営業職に向いているかの確認ポイント
社交的な人が必ず営業職に向いているわけではありません。
これまでの実績と証拠を見せてもらったり、ロールプレイングをさせてみるといいでしょう。
また中途採用者の場合は、営業経験で苦労したことを聞き、「苦労したことを他人の原因にしていないか(他責傾向があるか)」「苦労を今後の糧としてとらえているか」「ストレス耐性に問題はないか」「信憑性のある回答をしているか」を確認しましょう。
苦労したことのほか、失敗したことを聞くのも効果的です。
製造職に向いているかの確認ポイント
製造技術や知識の有無を確認することはもちろんですが、「頭数さえあれば誰でもいい」ではなく人物査定もおこない、「あなたの人柄にほれ込んでぜひ採用したい」という意思表示をしましょう。
チームワークによる生産性の向上を目指すためにも、応募者のやる気と入社意欲を高めるような態度を見せるといいでしょう。
販売職に向いているかの確認ポイント
販売職を希望する場合、応募企業の店舗に一度は足を運んだことがあると思いますので、訪問した応募者には商品や店舗のサービスについて感じたことだけでなく、改善すべき点について質問してみましょう。
「相手に不快感を与えず説明できるか」「問題意識や改善意欲があるか」「チームワークは問題ないか」だけでなく、店長候補であれば「リーダーシップを感じるか」「マネジメント能力はあるか」「売上・在庫管理に気を配れるか」なども確認しましょう。
総務職に向いているかの確認ポイント
人の管理をおこなう総務職には、広い視野と深い人間性が求められます。
経営の中心にいながら何でも屋、という役割に就くには全体を俯瞰してみることができ、柔軟な思考が求められます。
経理職に向いているかの確認ポイント
お金の管理をおこなう経理職は専門職です。中途採用なら専門知識と実務経験がどの程度あるかを確認することが必要です。
最後に面接の終了と、結果の通知方法を伝えましょう。
一通り質問が終わったら、面接の終了とともに結果の通知方法を忘れずに伝えます。
面接後何日後までに、どんな方法で結果を通知するかを必ず伝えましょう。
応募者は複数の企業に応募している可能性があります。採否結果がいつくるか分からないために別の会社の採用内定に返事をしてしまい、採用通知を出した時にはすでに他社への入社が決まってしまった、ということのないように、採否結果の通知する時期を伝えておくことが大切です。
(採用のコツ)面接の段階で採用したいと判定したときは、高評価していることを素直に表現しましょう。
ぜひ入社してほしい人材には、「あなたを採用する意欲があります」という態度を見せるのもいいでしょう。入社志望の優先順位が上がる可能性もあります。
笑顔で語りかける、相手の話へ好意的に相槌を打つ、何気ない誉め言葉をかけることで、応募者は自分を評価して受け入れてくれる会社だと安心感と興味を持ち、志望順位が上がるでしょう。
面接結果の判定は誰が・どうやってするのがよいか?
中小企業の場合は特に、最終決定は人に任せず社長がおこなうのがよいでしょう。
面接結果は参考とし、最終的に「社長が一緒に働きたいと思えるか」で判断することがポイントです。
規模が小さいほど、社長と従業員の関係性は深く、教育指導から管理まで社長が面倒を見ることになるため、社長自身が育てがいのある人材であることが重要になってくるのです。
適性検査の結果をどの程度採用に反映させるのがよいか?
適性検査や性格検査は多くの企業で採用しています。その人となりを分析し詳しい判定結果が出ることもあり、職種ごとの適性を知るなど有益ですが、信用しすぎるのはあまりよくありません。
人間は成長します。その後の立場や経験によって結果は変わっていくことも大いにあるのです。
そのため、適性検査の結果は参考の範囲にとどめ、結果だけを鵜吞みにして採用判定を下すことのないようにしましょう。
採用(内定)通知の出し方
採用予定者を内定したら、早めに採用内定通知を出すと良いでしょう。
先に電話で通知し、入社の意志を確認するのもいいですね。
採用通知を出す際は、テンプレート丸写しはお勧めしません。入社の決意を新たにしてもらえるよう、心のこもったものにするよう工夫するといいでしょう。
ポイントとしては、社長の人柄がにじみ出るような文章で、入社を歓迎すること、自社の魅力となる制度、相手への将来の期待をこめたメッセージなどがあるとよりよいです。決して名文である必要はありません。
入社の決意を固めてくれるような内容が望ましいです。
不採用通知を出す際の注意
不採用者に通知を出す時も、内定者同様丁寧に対応しましょう。
不採用通知文は事務的な内容で構いませんが、不採用者の「今後のご活躍をお祈り申し上げます」程度の気遣いはあるといいですね。
預かっている応募書類は不採用通知と合わせて返送します。求人票に応募書類は自社で処分する旨記載している場合は自社でシュレッダーして構いませんが、いつまでも個人情報を残しておくことがないようにしましょう。
辞退されないための内定者フォロー方法
出社日まで日にちがあかない場合はいいですが、期間があいてしまうと心変わりする可能性があります。特に新卒採用をする場合は入社までの期間が長いことから、定期的にコンタクトを取ることが大切です。
可能であれば、メールを通して会社の様子を知らせたり、内定者の懇親会や先輩社員との懇親会、会社見学などをすると、内定者は入社後のイメージがわき、入社意欲も高まるでしょう。
中途採用者も既存社員とうまくやっていけるか不安に思う人が多いため、配属先の社員と会う機会を作るなどすれば、入社後の仕事を具体的にイメージでき、入社の心構えができるでしょう。
内定から入社までにやるべきこと
内定者が入社するまでに会社側は以下のことを実施しておきます。
労働条件の明示
始業・就業時刻や賃金、支払方法、就業場所など所定の事項について記載し、契約書または労働条件通知書として明示しなければなりません。
特に、残業を含む労働時間や賃金についてはよく説明し、理解してもらうことが必要です。
書類提出の依頼
誓約書、マイナンバーなど、会社で雇入れ時に必要な書類を提出させます。
中途採用者の場合は雇用保険証や基礎年金番号なども必要になります。
詳細については次回のブログで説明します。
健康診断の実施または診断書の提出依頼
法律により雇入れ時の健康診断が義務付けられているため、必ず実施します。
ただし、3か月以内の所定の診断書を提出した場合はそれで代替できることになっています。
社会保険と雇用保険への適用加入
社会保険(健康保険・厚生年金)、雇用保険とも、加入要件を満たしていれば速やかに加入手続きをしましょう。これらの加入は任意ではなく義務です。試用期間中であっても加入しなければなりません。
最後に
面接で応募者の本質を見抜き、採用予定者を絞ったら、辞退防止と入社意欲向上のためにフォローします。入社意欲を高めてもらい、入社後活躍してもらうためには会社からのこまめな連絡が効果的です。
特別お金をかけずとも会社のニュースや制度を伝えることで、入社前の不安を軽減させ入社への期待値を上げることができるのです。
また、入社後スムーズに勤務してもらうためには手続きなどの準備も抜け漏れなくおこなうことが必要です。特に社会保険や雇用保険への加入は、要件を満たす従業員は義務です。まれに試用期間中は社会保険も雇用保険も入れないという会社がありますが、絶対にいけません。従業員の雇用と健康を守るためにも必ず加入手続きを済ませましょう。
求める人材を入社させることがゴールではありません。
入社はあくまでスタートです。その後活躍できるかは本人だけでなく、会社の環境次第です。
育成制度を整え、明確な評価制度があれば、既存の従業員もやる気を上げ、生産性の向上も期待できるでしょう。
次回は、この「採用のコツシリーズ」の最終回、入社手続きに関する説明をします。
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