前回のブログでは採用を判定する方法と入社までのフォローの仕方(リンク)について説明しました。

 今回は入社にあたって必要な手続きを説明していきます。

入社手続きに必要な書類

会社が用意するもの

 これらは内定者からの署名・捺印が必要になります。内定後速やかに送付し内定者に提出してもらいましょう。

採用通知書(内定通知書)

 法律上の公布義務はありませんが、採用通知書の公布後に会社都合で採用を取り消すと違法になるので注意しましょう。

入社誓約書

 入社の意思確認として入社承諾書を兼ねている場合があります。トラブル防止のためにも内定者同意のもと署名捺印をもらっておきましょう。

 記載内容は、就業規則や服務規律、秘密保持に関することなどです。

雇用契約書・労働条件通知書

 雇用主と従業員の間の労働条件の取り決めを書面にしたものです。

 雇用契約書は労使双方の会社が用意する書類は以下のとおりです。署名/押印が必要です。発行しないことへの罰則はありませんが、トラブル防止のため取り交わす会社が増えています。

 労働条件通知書は、労働基準法で義務化されており、雇用主側の署名/記名押印が必要です。

扶養控除等(異動)申告書

 税金関係や社会保険の手続きに必要な書類で、扶養者の有無にかかわらず提出が必要です。ただし、本申告書を提出できるのは1事業所のみのため、副業など2社以上から雇用されている場合は本業の会社で提出します。

健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届

 社会保険加入手続きで必要な書類ですが、扶養者がいる場合のみ提出します。

 

内定者に用意してもらうもの

 内定者に入社前に用意してもらうものは以下のとおりです。

雇用保険被保険者証番号

 新卒者以外で、これまで就業し雇用保険加入経験がある人は雇用保険番号が付与されています。

 雇用保険被保険者証を紛失したなどの申告があったら、雇用主がハローワークへ確認依頼をおこないます。前職(会社名)が必要になるので正式名称を確認しておきましょう。

給与振込先の口座情報

 会社所定の様式に口座番号等を記入してもらうか、通帳の口座情報が記載されているページのコピーを提出してもらいます。

源泉徴収票

 年末調整に必要なため、前職を退職した年と入社する年が同じ場合は提出してもらいます。

マイナンバー

 個人番号カードや個人番号通知カード、住民票から確認します。

 なお、個人番号通知カードと住民票による確認の場合は別途本人確認書類が必要です。

注意!取得した個人情報は厳重に管理しましょう。

 入社手続きには、従業員だけでなくその家族の個人情報も提出してもらうことになります。

 それらには、マイナンバーや生年月日などの重要な情報も含まれるため、第3者に漏れることがないよう厳重に管理する必要があります。

 個人情報に関する書類は鍵付き書庫に保管する、情報を取り扱う人は最小限にして本人と担当者の間にできるだけ人を介在させない等、担当者以外の人が容易に情報を閲覧できないようにしておくことが大切です。

 

入社手続きに際し必要な従業員情報

 上記で用意した書類をもとに手続きをおこないます。

なお雇用時の手続きをおこなう際に必要な従業員の情報は以下のとおりです。

<必要な従業員情報>

必要な情報

必要書類

氏名、生年月日、性別、現住所

履歴書

マイナンバー

マイナンバーカード、通知カード、住民票等

入社日、所定労働時間、基本給および各種手当額、残業手当見込額

雇用契約書等

基礎年金番号

年金手帳、基礎年金番号通知書等

雇用保険被保険者番号

雇用保険被保険者証

本年分の源泉徴収額(前職がある場合)

源泉徴収票

扶養する家族の有無

扶養控除等(異動)申告書

<扶養する家族がいる場合の、必要な家族情報>

必要な情報

確認書類

氏名、生年月日、性別、現住所

扶養控除等異動申告書、社内書式等

続柄、同居の有無

被扶養者の戸籍謄本、世帯全員の住民票等

別居の場合仕送り送金額

振込証明書等

マイナンバー

マイナンバーカード、通知カード、住民票等

収入額

課税(非課税)通知書、年金支払通知書、雇用保険受給資格者証の写し等

基礎年金番号

年金手帳、基礎年金番号通知書等

 

入社に際し必要な手続き3種+α

 従業員を雇用したらやるべき主な手続きは、①雇用保険への加入、②社会保険への加入、③住民税の特別徴収への切替え、④その他の社内手続きがあります。

その1:雇用保険の加入手続き

 「1週間の所定労働時間が20時間以上」であり、「継続して31日以上の雇用見込がある」従業員は、雇用保険に加入することになります。(ただし、学生は対象外)

 雇用保険に加入するためには、事業所管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。前職などで雇用保険に加入したことがある人は被保険者番号があるので、その番号を用います。

 なお、提出期限は雇用した翌月の10日です。

 資格取得届を提出後、「資格取得確認通知書」一式が交付されます。その中の「雇用保険被保険者証」は従業員に渡します。

 

その2:社会保険の加入手続き(関連ブログ:2022年10月から社会保険の何が変わる?

 加入基準を満たしている場合は、事業規模や雇用形態にかかわらず加入義務があります。

(加入基準:正社員(厚生年金保険適用対象者)および週の労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員)

 社会保険の加入手続きは、従業員を雇用してから5日以内に健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を、事務センターまたは年金事務所へ提出します。被扶養者がいる場合は、あわせて「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」も提出します。

 なお、全国健康保険協会(協会けんぽ)以外の場合は別途、各健康保険組合でも手続きが必要です。

 資格取得届を提出すると、従業員の健康保険被保険者証が交付されます。

 健康保険証が従業員の手元に届くまでには一定の日数がかかるため、医療機関に受診する必要があるなどすぐに必要な従業員がいる場合は、「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を提出し、「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらいましょう。

 

その3:住民税の特別徴収への切替

 住民税を会社が本人に代わって支払うため給与から天引きする場合(=特別徴収)、従業員が居住する市区町村へ届出書を提出する必要があります。

 その際、前職から引き続き特別徴収をおこなう場合と、自身で支払っていたもの(=一般徴収)を特別徴収へ変更する場合とで手続き方法が異なります。

1.前職から引き続き特別徴収をおこなう場合

 前職の会社にて「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を従業員の居住する市区町村へ届出書を提出します。

2.一般徴収からの切替をおこなう場合

「特別徴収切替届出(依頼)書」を従業員の居住する市区町村へ届出書を提出します。

 

その4:社内手続き

 会社によって様々ですが、労働者名簿への記入、給与計算ソフトへの登録(通勤経路の把握)、配置場所の決定・通知、備品の準備(社員証、デスク、パソコン、鍵、名刺等)などをおこないます。

 

最初が肝心!入社後速やかにガイダンスをおこない、就業規則や社内ルールを説明しましょう。

 従業員にとって就業規則や社内規程は「守らなければいけないことがあるのは知っているけど、具体的な内容はわからない」存在になりがちです。

 会社として守ってほしいルールを従業員がよく分かっていないと、後々大きなトラブルに発展するリスクがあります。

 就業規則を読むよう従業員に伝えても日々の業務に追われていると就業規則をじっくり読むことは難しいため、入社後すぐに時間をとってガイダンスをすることをお勧めしています。

 会社側が守ってほしい事柄を直接説明し、従業員に守るべきルールを理解してもらい、無用なトラブルを未然に防ぐのです。ガイダンスでは、就業規則や社内ルールの説明、守秘義務の遵守、ハラスメント対策は必ず説明しましょう。

 その際、会社のルールを説明するだけでなく従業員に期待することを明確に伝えると、従業員のモチベーションも上がり業務効率の向上も期待できるでしょう。

 入社後すぐのガイダンスだけではなく、定期的に全社員向けに守秘義務の遵守やハラスメント防止などの意識づけをおこなうことも大切です。

 

まとめ

 雇用保険や社会保険の加入手続きには申請期限があることから、内定者から提出してもらう書類はモレのないよう確認し、速やかに処理しましょう。

 まれに試用期間中は社会保険も雇用保険も入れないという会社がありますが、絶対にいけません。社会保険や雇用保険への加入は、要件を満たす従業員は義務です。従業員の雇用と健康を守るためにも必ず加入手続きを済ませましょう。

 また、可能な限り入社当日にガイダンスをおこない、就業規則や社内ルールの説明、守秘義務の遵守、ハラスメント対策をし、配属後の無用なトラブルを防ぐことをお勧めします。

 

 入社はあくまでスタートです。その後活躍できるかは本人だけでなく、会社の環境にも大きく左右されます。

 育成制度を整え、明確な評価制度があれば、既存の従業員もやる気を上げ、生産性の向上も期待できるでしょう。評価制度の導入や見直しを検討していましたら、ぜひ当社労士事務所へご相談ください。

 

入社手続きに必要な書類一覧

会社が用意するもの 内定者が用意するもの
雇用契約書(または労働条件通知書) 雇用保険被保険者証
扶養控除等申告書 年金手帳(または基礎年金番号通知書)
健康保険被扶養者異動届 給与振込先口座番号
採用通知書(または内定通知書) 源泉徴収票
入社誓約書 マイナンバー(個人番号通知カード、住民票)

雇入れ時におこなう手続き一覧

手続き内容 必要書類等 期限 届け出先
雇用保険 雇用保険被保険者資格取得届 提出した翌月の10日 事業所管轄のハローワーク
社会保険 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
健康保険被扶養者異動届、
国民年金第3号被保険者関係届(被扶養者がいる場合)
雇用開始から5日 年金事務所または健康組従業員が居住する市区町村合
住民税特別徴収 給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書*
または
特別徴収切替届出(依頼)書
入社後速やかに 従業員が居住する市区町村
各種社内手続き 労働者名簿への記入、給与計算ソフトへの登録(通勤経路の把握)、配置場所の決定・通知、備品の準備 入社後速やかに

*給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書は、前職の会社が提出します。

 

【これまでの「採用のコツ」シリーズはこちら↓】

(採用判定のポイントと内定者フォロー)採用のコツ⑧

(選考方法2:面接ではこれを聞け!)採用のコツ⑦

(面接を成功させるためにやるべき準備)採用のコツ⑥

(選考方法その1:書類選考と筆記試験)採用のコツ⑤

(効果的な求人募集方法とは)採用のコツシリーズ④

(応募者が集まる求人票の書き方)採用のコツ③-2

(欲しい人材へ自社をPRする方法)採用のコツ③

(欲しい人材を明確にする方法)採用のコツシリーズ②

(採用の手順)採用のコツシリーズ①

 

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